ジョン・ベレアーズ著、三辺律子訳『魔法の指輪』(2002年、アーティストハウス)


夏休み後の新学期には中学生になるローズ・リタは、女の子らしくしなければならないことに不安と怒りの混じった感情を抱いていました。おまけに、親友のルイスはボーイスカウトのキャンプでいなくなってしまうのも不満でした。そんな彼女を、魔女のツィンマーマン夫人はミシガンへの旅行に誘います。変わり者のいとこが遺した農場を見に行くのが目的です。彼は魔法の指輪を見つけたと言っていました。そして農場に着いた2人に、不思議な出来事が次々に起こります。


誰(何)が不思議な出来事の原因になっているかは分かっているのですが、簡単に事件の真相には到達できません。前作『闇にひそむ影』では、自分の欠点を克服したくて、コインの魔法に魅せられたのはルイスでした。今回は、将来に不安を抱えるローズ・リタが、魔法の力に心を奪われそうになります。しかもそれは、困難を乗り越えたと思われたところです。ファンタジーとしての面白さだけでなく、そういう思春期の漠然とした不安もよく描かれていると思いました。


ダレン・シャン著、橋本恵訳『ダレン・シャン V バンパイアの試練』(2002年、小学館)


これまでの読書記録を見てみると、読んでいたのに感想を書いていない本が数冊あることが分かりました。このダレン・シャンのシリーズも、感想をここで書くのは初めてですが、これまでに日本語で出版されたものはすべて読んでいます。私はこの本は、『ハリー・ポッター』シリーズよりも好きです。確かにストーリーそのものを不快に感じる人もいると思うので、誰もが気に入るとは思いませんけれど。原書を読んだことがないので分からないのですが、翻訳っぽくない文章(オリジナルの雰囲気から遠かったりしたらアレですが)が気に入っています。


前巻で決まった、ダレンがバンパイアとして認められるために受ける試練が、とうとう始まります。簡単にこなせるようなものはなく、ダレンは全力で取り組みます。その最中に意外なアクシデントが起こり、ダレンに危機が訪れます。しかしさらに大きな出来事が、バンパイア・マウンテンにもたらされようとしていました。


このあらすじでは物語の面白さを十分に伝えきれず残念なのですが、自分の目で見ることを楽しみにしている人もいるでしょうから、なるべくそういう人が読んでもネタバレにならないようにしようとすると、こういうあっさりとしたものになってしまいます(私自身も、図書館でリクエストしてから自分の番が来るまでに、1ヶ月待ちました)。ダレンが受ける試練は順調に進むかと思ったのですが、予想外の展開になります。私としては、読みながら予想していたことが確かに当たったのですが、ものすごくびっくりするくらい裏切られる出来事もありました。次の巻がとても待ち遠しいです。


ダイアナ・ウィン・ジョーンズ著・田中薫子訳『大魔法使いクレストマンシー 魔女と暮らせば』(2001年、徳間書店)


事故で両親を失ったグウェンドリンとキャットの姉弟は、近所の魔術師たちに面倒をみてもらいながら生活していました。グウェンドリンの魔女としての能力は高く評価されていて、キャットはそんな姉をすっかり頼っています。やがて2人は、大魔法使いクレストマンシーに引き取られ、彼の城で暮らすことになりました。でも、きゅうくつな生活が我慢できないグウェンドリンは、魔法でさんざん嫌がらせをした後に、どこかに姿を消してしまいます。代わりに現れたのは、グウェンドリンとそっくりだけれど別の世界から来た別人だというジャネットという少女でした。周りの人たちにこのことが気づかれないように、キャットの奮闘が始まります。


彼女の作品は、とにかく女の子が元気というか積極的というか。特に今回のグウェンドリンの、やることのスケールの大きさには驚かされました。が、能力のわりに嫌がらせのレベルが低くて、そのギャップが何となく笑えます。まるで、戦隊モノの悪役が幼稚園のバスをジャックするみたいな感じで……。姉が姉だし、弟だからということがあるのかもしれませんが、キャットが頼りなさすぎ。もうちょっとしっかりしてほしいなあ、と思いながら読んでいました。これも『クリストファーと魔法の旅』と同様、姉に依存しきっていたキャットが人間的に成長する物語でもあると言えます。


クレストマンシーのこともよく分かってきたのですが、あのものすごい洋服のセンスはどこからくるのでしょう。あと、『クリストファーと魔法の旅』の伏線をすっかり忘れて(ネタバレになるので言わないですが)、あるサイトを見ていて「ああ、そういえばそうだった!」と思い出したことがあります。間が空いてしまったので、しょうがないかな。


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