ジョン・ベレアーズ著、三辺律子訳『鏡のなかの幽霊』(アーティストハウス、2002年)


何を間違えたのか、『ルイスと魔法使い協会』シリーズ3冊目をリクエストしたつもりが、それを飛ばして4冊目を読んでしまいました。運良く3冊目の内容は関係なかったので、問題なく楽しく読めましたけれど。


今回は、魔力を失った(すっかり忘れていたのですが、2冊目の話でした)ツィマーマン夫人が、魔力を取り戻すために、鏡の中に現れる彼女の魔法の師匠、ウェザービーばあさまに言われたように、ローズ・リタと一緒に旅に出かけます。しかしツィマーマン夫人も予想していなかった事態になり、彼女たちは1828年のペンシルヴァニアにやって来てしまいます。そこで、悪い魔法使いだと疑われている一家(その家の娘が、のちのウェザービーばあさま)を助ける——という筋書きです。


実はこれまで(と言っても2冊目までの話ですが)、このシリーズは面白かったものの少々不満がありました。それは、読者にまったく知られていない謎が物語の伏線で、それが終盤に唐突に明らかになって解決されておしまい、という感じでストーリーが進んでしまっていたからです。でも今回はそういう状態にならず、ローズ・リタと一緒にハラハラしながら展開を見守っているような気分になりました。


素朴なペンシルヴァニア・ダッチの生活、周囲から誤解されて苦しむヴァイス一家、善良でやさしい魔法使いのドレクセルじいさま、彼らを陥れようとする存在……すべてが興味をひきつけ、どきどきわくわくさせます。自分がドイツ語を知っているから、余計楽しめるのかもしれません。


物語のおしまいのほうでほんの少ししか出てきませんが、それまでの頼りない感じのルイスがちょっと変わった(成長した)ように感じるのも、シリーズを通して読む魅力の一つでしょう。それまでは友情としか思えなかったルイスとローズ・リタの関係がどのようになるのかも楽しみです。