ダイアナ・ウィン・ジョーンズ著、野口絵美訳『大魔法使いクレストマンシー 魔法使いはだれだ』(2001年、徳間書店)


魔法使いハウルのシリーズを読んで以来気になっている、ダイアナ・ウィン・ジョーンズの作品です。魔法使いが厳しく弾圧を受ける世界の、ある寄宿学校が舞台。問題児がまとめて入れられたクラスで、「この中に魔法使いがいる」というメモを教師が発見します。その存在は生徒たちには明かされませんが、学校の音楽室に鳥が大挙してやってきたり、生徒の靴が全部講堂に降り注いだりと、メモを裏付けるような出来事が次々に起こります。追い詰められた少女が、助けを求める呪文を唱えると……というのが、この物語のあらすじです。


面白いほど「いい子」や「いい人」が出てきません。みんなどこかひねくれていて、一筋縄ではいかない性格です。「ああ、このままだと火あぶりだな」という人物でさえ、「かわいそうに」という肩入れはできないひねくれぶりです。が、その魔法が引き起こす騒動はドタバタでなかなか好きです。クレストマンシーの登場は後半の1/3ほどだけで、しかも彼がそんなに重要な役割を担っているとはとても思えないのですが……。あと、それまでのチャールズの行動を考えると、最後の最後で気持ちを変えたのがちょっと唐突すぎるのではないかと感じました。


でも、今回の解決方法はなかなか面白いと思いました。