クリフ・マクニッシュ著、金原瑞人・松山美保訳『レイチェルと魔導師の誓い』(2002年、理論社)


子どもたちの多くが魔法を操れるようになった地球。一方で、大魔女たちの星ウールの地下深くでは、大魔女たちが作り出した禍々しい生物、グリダが活動を始めました。グリダたちは大魔女を圧倒し、地球の子どもたちの情報を手に入れます。グリダは地球の子どもたちを利用しようと、魔導師だけでなく、ティミやレイチェルも捕らわれてしまいます。自分の不思議な力に悩むエリックは、グリダたちを倒す作戦を考えました。


読み進めるうちにテンションが下がってしまいました。『レイチェルと滅びの呪文』で感じたあの絶望感は、どこに行ってしまったのでしょう。Amazon.co.jpでの読者の評価は高いのですが、私の趣味には合わなかったようです。それと、なんだか「お話」が「キレイ」すぎると思います。こうやって終わられると、「ああ、そうですかー、よかったですねー、がんばってねー、ぱちぱち(拍手)」としか私は言いようがありません。


私がもしも小学生だったら、オトナの目も意識して、読書感想文には「これから○○と△△が世界をよりよい方向に変えるのだと思うと、希望が感じられます」みたいなことを書くかもしれませんが、この年齢になったらそんなこと書く気になれません。何がテンションを下げてしまったかと考えると、「誰かが何とかしてくれる」ところです。1巻では先入観がなかったので「レイチェルは、もしかしてドラグウェナの手下になっちゃうのかなあ」などとハラハラドキドキで読んでいました。それ以降は、確かに先は見えないものの、まあなんとかなるんでしょう、という気持ちがあって、何が起こっても驚かなくなってしまいました。こうやって書いているううちに、"Deus ex machina"という言葉を思い出しました。